遺産分割協議書とは
●遺産分割協議書とは
- 遺産の調査および相続人の確定ができた上で、作成するのが遺産分割協議書です。
遺産分割協議とは、相続開始により法定相続人の共有となった遺産を個々の財産に分けるための協議を指します。分割協議がまとまれば、相続人全員のものであった遺産が相続人ひとりひとりの個人所有物になります。遺産分割協議書とは、この協議の内容を記載した正式な文書です。
- 遺産分割協議書は相続手続きに欠くことのできない重要な文書です。
不動産の相続登記、預貯金や株式の名義変更や払い戻、相続税の申告等、法的手続きのすべての場面で遺産分割協議書の提出が必要になります。
▼遺産分割の方法
- 現物分割
遺産をそのままの形で分割する方法です。
- 換価分割
遺産を売却し金銭に換え、それを分割する方法です。
- 代償分割
特定の相続人が遺産の全部または大部分を取得し、代わりに他の相続人に金銭を支払うという方法です。
- 共有分割
遺産の全部または一部を共有して相続する方法です。分割しないほうが将来土地の値上がりが期待できる場合などにこの方法をとります。
遺産分割協議書作成方法及び注意点
▼作成方法
- 決められた書式、形式がないため、署名以外は、ワープロでもかまいません。
- どの遺産を誰がどれだけ取得したか、できるだけ具体的に記載します。
- 相続人全員が署名し、実印で押印します。
- 遺産分割協議書が用紙数枚にわたる場合、法定相続人全員の実印で契印してください。
- 印鑑証明書を添付します。
- 外国に住んでる相続人の場合、大使館等で、実印の代わりにサイン証明を発行してもらいます。その際、担当官の前でサインし、遺産分割協議書とサイン証明を一体化する処理をしてもらうのがよろしいでしょう。
- 相続人の人数分作成し、各自で保有します。
- 不動産(土地、建物、マンション等)の表示は、最新の登記簿(全部事項証明書または現在事項証明書)どおりに記載します。
- 土地の場合(所在、地番、地目、地積)
- 建物の場合(所在、家屋番号、種類、構造、床面積)
- マンションの場合
- 1棟の建物の表示
(所在、建物の番号) - 専有部分の建物の表示
(家屋番号、建物の番号、種類、構造、床面積) - 敷地権の表示
(所在及び地番、地目、地積、敷地権の種類、敷地権の割合)
- 1棟の建物の表示
- 預貯金の場合は、銀行名、支店名、口座種(普通、定期等)、口座番号、口座名義人、金額を記載します。
▼注意点
- 相続人に未成年者がいる場合、原則、未成年者は遺産分割協議が出来ません。その様な場合には、未成年者の代理人を選任する必要があります。通常、未成年者の代理人は親なのですが、親子揃って相続人となるケースが多くあります。このような場合、親と子供の利益が相反することになり、親が子供の代理人として分割協議をする事が出来ません。これは法律で決められているのです。また、子供だけが相続人である場合であっても、数人の子供を一人が代理することもできません。このようなときには、未成年者一人ひとりのために特別代理人を選任します。特別代理人は家庭裁判所に選任を申し立てます。
- 分割協議のやり直し(再協議)は基本的にはできません。
一度決定した有効な分割協議で合意した内容は、後日、不服があったとしても再分割協議はできません。例えば有価証券・土地等、価格変動があるものを相続し、その後時価が下落したからといって再分割を求めることは原則できないのです。
仮に相続人全ての合意があっても、それは遺産分割としてではなく、贈与契約として新たな契約をすることになります。
つまり、分割協議後の財産移動は贈与税の対象となってしまうのです。 このように、分割協議はそれだけ重要で慎重な姿勢で臨む必要があります。